[コメント] ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000/英=独=米=オランダ=デンマーク)
メスだ!メスの怪獣映画だ!!
北野武が、高倉建はゴジラであると、どこかで言っていた。出演するだけで、後はビルを壊そうが東京タワーを壊そうが、一応映画にはなるからだそうだ。このビョークも、自分からすると、まさにゴジラの親戚だ。彼女の佇まいと歌声があれば、とりあえず映画は出来てしまう。そんなメスの怪獣に、この映画は“母親”というこれまたふさわしい役どころを用意した。
言うのも気恥ずかしい話だが、自分が自分の母親を敬愛しているとすれば、ときに彼女は一言もなく我が心を見透かしもする…そんな瞬間、母は確かに怪物のようにも思える。
そもそも子供にとって、母はむしろ神に近い。見返りなしに願望に耳を傾けてくれて、それを裁定し、時に叶えてくれるのだから。けれども母は神ではない。神ほど全能なわけではないのだ。だからこそ母は、ときにその子供のために化け物になる必要に駆られる。このセルマのように・・・
暴れて脅威となる怪獣の心を、周囲は理解しない、できない。そばに居合わせた者はその猛威をただ憎み、離れた場所から見る者はただ畏怖するばかりだ。
この映画は、まさに母を描いた映画だった。
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