[コメント] ワイルドバンチ(1969/米)
サム・ペキンパー映画の中で最も判りやすく泣ける(涙する、じゃない)映画だ。ペキンパー特有の「のっぴきならない過去の関係」や「挫折感」や「死の影」などがもっとも顕著に表れている。
タイトル・バックのサソリと蟻の象徴的なシーンからして判りやすい。ウィリアム・ホールデンとロバート・ライアンの図式的な関係も判りやすい。また、エドモンド・オブライエンの歯抜け爺いの使い方なんか説話的に非常に完成度の高さを感じさせる。ラストのガン・ファイトのスローモーションも多くの人を唸らせるにたる美しさだと思う。
でもね、本当に圧倒されるのはラストのスペクタクルの前の朝のシーンの緊張感(それはアーネスト・ボーグナインやベン・ジョンソンやウォーレン・オーツのちょっとした表情)とか、中盤のメキシコの村を後にするシーンの村人達の描写とか、それこそエドモンド・オブライエンの全ての所作とか、感情を(登場人物の感情というよりも作者ペキンパーの感情を)フィルムに定着する術だと思うのです。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。