[コメント] バトル・ロワイアル(2000/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ファミコン好きの友人たちはどう動くか?あのリーダー格の男は誰とつるんで行動するだろうか?となると女子は?ちょっと気になってたあの娘は?まず先に狙われるのは、そして最後に生き残るのは誰か?そんなことを考えてみる。しばらく考えてみて、それがシャレにならないことに気が付いて一瞬怖くなった。空想上でも嫌なものである。
……さて、原作やらコミックやらを読む前に映画を観たので、原作からして映画がどうのこうのという評価は出来ない。だが自分が気になってしょうがないのは教師キタノ・ビートたけしの存在である。生徒達からは授業を放棄されるわ、娘からは疎んじられるわ、挙句は生徒から刺される。唯一の救いは授業放棄されても一人出てきていた前田亜季の存在ぐらいしかない。
そんな彼がBRの担当教師になってまずしたことは、人の話を聞かない女子生徒をナイフで殺して、ちょっと目に付いた男子生徒を爆死させることだった。今までうざったい存在でしかなかった子供達を思いのままに出来るということは、彼にとってどれだけの思いだったのか計り知れないところがある。だが娘(前田愛?)と携帯で話している時や、一人ラジオ体操をしている時の、あの孤独感は何なのか。話が進んで生徒達が減っていくと共に、そのような描写も増えていく。ではキタノの本心は?鍵となるのは、やはりその「孤独感」ではないかと思う。
「どうやったら子供の気持ちが分かるのか、分かり合えるのか?」
案外こんな疑問かもしれない。そこでキタノは最後の希望を前田亜紀に託した。だが拒否された。さらに撃たれた。死んだかと思ったところで、娘からのケータイが鳴る。いろいろやり取りをした後で、ウルセエと怒鳴ってケータイを撃ち壊す。「お前らガキどもの考えなんて分かんねえよ!何なんだよ!」キタノは子供との対話を完全に拒絶して死んだのである。
「大人と子供の対話・理解」などという甘っちょろい結論を何一つ出さなかったこの映画、結局は自らの力で生き抜くことを選んだ子供達が生き残ったわけだが……。え、続編作るの?まだまだ戦いは続きそうである。
そういえば今年(2002年)の秋頃、民主党の議員が自宅前で刺殺されるという事件があったのは記憶に新しい。実は、その刺された方というのが『バトル・ロワイアル』公開前、公開を中止しろと東映に噛み付き国会でも議題に挙げたその議員さんなのである。「自民党が言うならともかく、民主党があんなこと言っちゃダメだよなあ」と快楽亭ブラック氏が言っていたが、哀れな結果となってしまったものだ。
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