昔、こういうことを言った人がいる。ミュージカル映画は、なぜ突然歌い出したり踊り出したりするのか。そんなことを気にしていたら、ミュージカル映画は楽しめない。

　アクション映画も同じだ。なぜ、主人公だけ弾に当たらないのか。なぜ、主人公の誰でも思いつくような凡庸な推理が正解なのか。でも、そういうところがアクション映画の面白いところなんだからしょうがないじゃん。

　スクリーン上を飛んでいたダイナマイトが劇場内に飛び込んでくる。ダイナマイトの爆発に吹き飛ばされたダニエル少年は、上映されていた場面の、ジャック（シュワルツェネッガー）が運転するコンバーチブルの後部座席で目を覚ます。その瞬間から彼は、自分が大好きな映画の世界に入り込んだことを確信する。これほどまでに、フィクションの世界を楽しむ心の純粋さを、映画的に上手に表現したシーンがあったろうか。

　アクション映画を楽しむ心ってなんなんだろうとは思う。でも、アクション映画を楽しめない人は、こういうところが駄目なんだろうな、ということは、よくわかる作品だった。例えて言うなら、きっとこんなふうに思うのだ。正義は勝つ。正義はほとんど勝つ。正義は負けることもある。正義は案外負ける。正義は・・・参加することに意義がある。

21/9/10TV再見