[コメント] ボディ・ダブル(1984/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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閉所恐怖症を表現するのに、『めまい』の高所恐怖症演出に挑戦するくらいの気概は見せてほしい。それを、カットで見せようという意欲が全然感じられない。主人公が焦り顔でハァハァ言ってるだけ。エレベーターでは、人が大量に乗り込んでくるのはいいが、彼の背後に窓が大きく開いているので、閉所感が希薄。トンネルのシーンでは、主人公が追おうとしていた男の向こう側に、出口が白く輝いて覗いていて、これまた閉所感を殺ぐ。出口があるにしても、せめて夜のシーンにすればいいのに。尤も、これは終盤の、生きながらに埋葬されかけるシーンでの、夜のシーンなのに上方の穴が白い四角形として現われるカットで反復されているわけだが、だからといって、どうということもないし。
また、主人公がヒロインを追跡するシーンでの、彼女がゴミ箱に捨てたパンティを拾うカットや、階段状になったホテルの上階から彼女の電話を盗み聞きするカットでは、二人の距離が近すぎて、サスペンスが皆無のマヌケな画になっている。まあ、実際、女に妻の替え玉(ボディ・ダブル)を依頼した男は、主人公に女を追わせるのが目的だったのだから、マヌケ画のわざとらしさも、狙っているのだと解釈できなくもないのだが・・・・・・。
主人公が借りる部屋が、360度見渡せる上、塔の上の円盤状の建築物という、孤立した状況にあることを初めとして、全体的に、空間の構築という意味では、見るべきものがあるシーンが多い。それを充分に活かした演出が為されていたとは、お世辞にも言えないが。
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