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[コメント] アヴァロン(2001/日=ポーランド)

ちょうど今現在、ネット対戦可能な第二次大戦モノの戦争アクションゲームに夢中になっている自分としては、本作で描かれていることを見過ごすわけにはいかぬ。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 印象に残るのは、ヒロインのアッシュが普段の生活をしている日常の描写である。街は冷たく、人はただそこに存在しているだけ。一昔前によくあったバーチャル空間体験映像を見ているかのように、活力が無く現実味が無い。それとは逆に、経験値を積むことでそれが生きる糧となる“アヴァロン”の何と活気のあることか。完全に虚構の中で生活しているわけではないにせよ、そこに自らの身を置く者達は、我々が日々の糧を稼ぐ仕事の中に何らかの生きがいを見出そうとするのと同じく、“アヴァロン”においてそれを実践している。これがもし本当に存在していたとしたらどうだろう、自分もやはり手を出しているだろうか。実際にプレイしたとして、どれだけの経験値を積めるだろうか。

 ラスト、クラスリアルのミッションを終えたアッシュの前に再び“ゴースト”が現われる。最後の字幕は「Welcome to AVALON.」……これは戻ってきたのか? いや、実感の無い現実を離れ、ある種の理想を抱いて挑む“アヴァロン”は、人間達の理想を可能な限り(虚構でありながらも)創造する事が出来る空間だ。つまり、アヴァロンはいくらでも大きくなる。現実のように飽和しきって廃れることもなく、延々と増殖し続けることが可能なのだ。そして、アッシュはまた新たな領域に足を踏み入れようとしている。

 それが我々の求める真の理想郷の姿なのかは、誰にも分からないが。

(評価:★3)

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