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[コメント] ハート・オブ・ウーマン(2000/米)

ハリウッド黄金期を思わせるオールドファッションな作りでフェミニズム映画を、という狙いに警戒心を解いてまずニヤリ。暖かなムードで押しつけがましくない出来に。
mize

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 女性をバカにするな!という内容の映画は往々にして語り口が過激で、正直言って女性が暴力的になって男性化しただけではないかと思うことが多かったので、この映画のテーマにまず少し警戒しつつ鑑賞。実は後半でメルが同僚男性に「女性は男と違ってキタナイ真似はしない」と力説していたセリフは「えー、そうかぁ?」と納得できなかったりもする。

 しかし昔懐かしい雰囲気に、クラーク・ゲーブルを彷彿とさせる今どき珍しい「俺は男だ!」なフェロモンたっぷり・脂テカテカの主人公。もしCMやMTV出身の映像凝りまくり若手監督がナイーヴで病的なエリートのプレイボーイを主人公に撮っていたら、相当ブラックで顔のひきつる笑えない映画になっていた事でしょう。あえて古風なやりかたで撮ったことで、まずは誰でも楽しめるシチュエーション・コメディに仕上げた点に好感。

 そして、あくまで主人公の成長物語とした点も押しつけがましくなくて良い(男性が女性にコテンパンにされる「女性向けストレス解消映画」でもなく)。個人的にはヒロインとの関係よりも、娘との関係が変化していく場面が良かった。トイレで泣く娘を励ます場面に彼の成長ぶりがよく出ていた。

 なのに★3なのは、終わり方が唐突で物足りなかったこと。「キミは僕の英雄(ヒーロー)だ」というラストの愛の告白は素晴らしい到達点なだけに、尻切れとんぼのような終わり方が惜しい。

 ちなみにメルは私生活では何十年間も奥さん一筋の愛妻家と知っているだけに、プレイボーイを演じていてもその事が頭をよぎってしまった。もしリチャード・ギアが演じていたら、女性蔑視な主人公としてもの凄いリアリティが出たとは思う!…思うけど、今度は後半の変化がリアリティ・ゼロ。やっぱりお茶目でコメディが得意なメルで正解。

(評価:★3)

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