信心深い割りにセックス大好きな中年夫婦や、何だか知らないけどガンガン孕む女性などの軽いものから、子どもへの性的虐待、家庭内介護などの重たいものまで、様々なテーマが顔を出してきます。恐らくこの映画ではそれらの問題を描くことを目的としたわけではなく、予想だにしない様々なことが、誰の身にも降り掛かる人生ってものを描こうとしてるんじゃないかと思います。

だからこそあれだけ善人だったおばさんが、竜巻きなんかで突然亡くなったりする。現実ってそういうもので、善人にとっても悪人にとっても人生ってままならないんですよね。そんな真摯な姿勢に結構好感を持って観ていたのですが、それだけに主人公を捨てた亭主の結末はちょっと勧善懲悪な匂いがして、この映画には不似合いな感じを受けました。「ままならない人生でも、頑張ってれば良い結果になるよ」ってことなんだろうけどね。

徐々に上品になっていくナタリー・ポートマンや、押し出し過ぎないテーマ性、登場人物みんながちょっとずつ背負っている哀しみなど、細かく気を使ってある感じがとても気持ちいい作品でした。ただ「アメリカス」はどうかと思う。