[コメント] レクイエム・フォー・ドリーム(2000/米)
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いやあ、俺も精一杯背伸びしてエラソーなこと書いてるけど、この手の作品には結構千々に心を乱されます(全然鎮魂歌になってない!)。ほんとジャレッド・レト(ハリー)は純な瞳の心をくすぐる好青年だし、ジェニファー・コネリー(マリオン)に至ってはあれだけの美貌とそれを武器に使える頭の良さを持っているのだから、人生のあらゆる階段を昇って高所に到達することが出来るのに、なんでこんなに悲惨な人生をたどるのか、と思うくらい。まあ、そこが映画といえば映画だ。
しかしこの二人はまだ、世間を屁とも思わない選ばれし者の故の傲慢さを備えていて、凡人の感情移入を拒否する所があったので、運命の急降下も冷静に見放してやれたけど、問題はレト(ハリー)のお母さん(サラ・ゴールドファーブ=エレン・バースティン)だ。実に純粋で正直で控え目で、小心な所もあるけど人一倍人目を気にしていて、ユーモアがあって笑顔が明るい女性だと思って欲しくて、良くできた息子がいて旦那は死んだけど努力して幸せな家庭を築き上げた、ささやかだけど人生の成功者だと思って欲しくて、ああ、あのお母さんが息子の前で自分の孤独を告白しながら隠しようもない狂気を見せてしまったシーンなんて(また演技が迫真なんだ)、あまりにも残酷で涙さえ一滴も出ず、頭を掻きむしりたくなるくらい悲しかった(実際むしってたかも)。こんな悲しい映画を見せられると、ほんとみんな人生とどう折り合いをつけて生きてるんだろう、って思っちゃう。母ちゃんの胎内にいたときが一番幸せだったよ、生まれてこなきゃよかった、生まれてすみません(→以下バーンズ氏のコメント&レビューへ)
(・・・復帰)何度も繰り返し挿入される早送り編集の繋ぎ合わせ(注射打ったり薬飲んだりのシーン)なんて、普通は「小賢しい(byけにろん氏)」と感じる方だけど、この映画に限っては、もうどうにでもしてくれえ、というカンジ。デビッド・リンチ作『未来世紀ブラジル』って感じか。ええい、誰かもっと上手い表現で言ってくれえい!
ただ主要な登場人物みんなが不幸に陥る必然性はないわけで、レトの相棒の黒人青年はもうちょっとしっかり者の感じがしたけどな。レトの腕が悲惨な状況になっているのを見たとき、友人をほっぽり出して逃げ出すか、一人でビジネス続行を決断するかのどちらかかと思った。まさか友情をとるとは思わなかった。そうしていた方が、3人の陥る悲劇がより浮き彫りになってよかったんじゃない? この映画に何か指摘できるとしたらそれくらいだ。
表題(コメント)のような書き方をしたのは、妄想内TV番組で〆るという〆方に、何らかの解答を示そうとして示せなかったが故の逃げを感じたから。それだったらとって着けたような〆方をせずに、そのままゴロリと投げ出しておいた方がかっこよかったかもしれない。映画自体は悲惨な結末でも、ごたごたとした実人生を希望の光で照らしてやれる素晴らしい映画は、他にいっぱいあるぜ!(強がり)
それにしても桟橋に佇むあの赤い服の女は何者だったんだろう。
80/100(02/03/03見)
追記:ホレ見ろ!監督のダーレン・アロノフスキーはまだ33になったばっかだ!しかし原作&脚本のヒューバート・セルビーJr.は70を越えている・・・(IMDb参照)。う〜む惨敗感(意味不明)。
追記2:ああ、あとお母さんが薬についての知識がなさ過ぎて医者の言うことを鵜呑みにしてしまうのがちょっと・・・、ってこれは枝葉かな。
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