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[コメント] 決死圏SOS宇宙船(1969/英)

アナログな電子音楽と心理的な電子映像。それに冒頭すごく大げさに神格化されて描かれるコンピュータ・・・個人的にこういうのに弱いという事もあるが、なによりこの映画にはどこか心(?)の様なものがある事を、先日再鑑賞して感じました。
YO--CHAN

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







(本作は世間では所謂「アンダーソンの実写映画」って扱いで、作者自身も「一丁あがり」程度かもしれないけど、個人的にいけると思った部分があったので勝手に書かせていただきます)

ラスト、1回の衝突事故だけで一気に爆発してしまうロケットや監査棟やその他すべては、御都合主義であると同時に、触れてはならぬ領域に触れてしまった人間への神の怒りの象徴なんだろう。(そういえばヤマトでもこんな連鎖爆発が)

しかしぐっとくる場面はその後に用意されていた。 証拠も証人もなく、いまや歩くことさえできない老所長。誰も彼の話など信じてはくれない。そんなボロボロの所長が老いたその手をふと鏡にのばす、そこに自分はぐっときてしまった。

演出は、こんな場面に明るく勇壮ですらある音楽をかぶせるのだ。その後に続く車椅子での鏡への突進は、それ自体悲惨な自殺行為だが、まるでそれが肉体に縛られ地球という星に繋ぎ止められた魂の開放であるかの様な(?)描写だった。

一体、こんなシーンにあんな音楽がかぶさる映画が他にあるのだろうか。神の鉄槌を食らっても、全てを失っても、赤子の様に未知に手を延ばし続ける人間というものを描いた名シーンかも、しれない。

P.S.  以前、youtubeで本作の予告編を見ました。  ・・・なんというか、本作のキモとなる部分が、自分の思う部分と見事なまでに食い違った予告編で、「さあ、宇宙旅行に行くのは、観客である!あなたです!」なんて見せ方でした。そ・・・そういう映画だったのか!?この予告編を作った人は、本当にこの映画を見たの?なんて気になりました。

 製作サイドと作り手サイドの食い違いもあったのかもしれません。

(評価:★5)

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