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[コメント] タイトロープ(1984/米)

空撮から始まるオープニング。冒頭からイーストウッドとサーティーズの世界がもうたまらん。全体にイーストウッド監督作とほとんど見紛うばかりだが、一部、彼だったら考えられないような演出ミスがある。例えば、窓越しに家の前の舗道にいる別れた妻を見るシーンの距離感だとか。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 しかしそんな指摘は重箱の隅つつきのそしりを受けそうだ。本作も全般に実に面白く、シーンは充実している。いつもの不道徳なイーストウッド。仮面のモチーフや倉庫の中の大きな人形達といったスペクタキュラー。部屋にある一角獣の絵画は『ダーティハリー4』を想起させる。サーティーズのローキーにはしびれっぱなしだ。そしてこれも卑近なことを云うようだが、やっぱり本作で一番驚かされるのはアリソン・イーストウッドの扱いだろう。こんな題材の映画で親娘共演する、というだけでも凄いと思うのだが、ラスト近くでレイプされるという役柄なのだ。こういうところにもイーストウッドの映画に対する峻厳な態度が現れている。云い換えれば、彼は映画に対してどこまでも道徳的だ。

(評価:★4)

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