夕闇になった頃から怖がりだし、変わり果てたママとパパの姿を見て何が何でも帰ると泣きだした何列か後ろの幼女。＜階段を降りるところでその恐怖は最高潮に達してしまったらしく、やがて外に。

エンドクレジットに合わせ、小さな声で（歌詞をかみしめるかのように真剣に、でもときどき間違えながら）ずっと一緒にテーマソングを唄っていた隣の5、6才の少女。＜映画にも夢中で、すっかり「千」になってリアクションしてた。

どちらの気持ちもとてもよくわかる気がして、同じぐらい愛おしかった。抱きしめたいような思いにさえかられた。オトナになった私には（すでに）表現しきれなくなっている感情を、すべて彼女たちが代弁してくれているかのように思え感謝した。

本当はもうひとり、「私だったら絶対あんなふうにはふるまえない…。」とコンプレックスさえ感じてしょんぼりしてしまう10才の少女にもいて欲しかったのだけど、そういう子どもはきっと声はださないだろう。その頃の私が、そういうヒロインに接するたびに（とりあえずは）黙りこむしかなかったように。

3人の少女と、私の中にも絶対にいる困ったカオナシに1点ずつ。