大画面・大音響でのカート・レース疑似体験の迫力は満足感あり。シルベスター・スタローンが活躍しないと興行的に難しいというのもわかるが、彼が主役張ってるためにストーリーが犠牲になってるのも事実。でもそんなこと、誰も本人には言えないよね。

さて、ここに４人のレーサーがいる。 ボー：実力ナンバーワン、現チャンピオンでもあり、常に真摯な態度でレースに臨むベテラン・レーサー。 ジミー：彗星のごとく現れてチャンピオンに迫りながらも精神的に突き抜けられない若き天才新人レーサー。 メモ：ジミーの親友ともいえる良きチームメート。レースではジミーのアシストを要求されながらも、レーサーとしてのプライドは心の中に持ち続けている。 ジョー:事故でレースを離れていたが、ジミーへのアドバイスを求められて復帰する中年の元花形レーサー。 みなさんだったら、この４人のうち誰を主役にして映画をつくりますか？

この映画ではジョーが主役で、おいしいところをかっさらっていく。技術も精神力も一流、ちょっと暗い過去が哀愁を漂わせ、嫌味な元妻にも決して腹を立てず、友人には熱いアドバイスを忘れず、真面目な美人記者にそれとなく慕われる。スタイルも、以前の映画より少しひきしまっていてかっこいい。

でも最後に戦うのはジョーじゃないんだから、スタローンには『酔拳』の老師の謙虚さ（？）を見習って欲しいよ（笑）。素直に新しいヒーローを誕生させてほしい気がする。

Ｐ．Ｓ．ヒロイン・ソフィアの節操のなさには、目に余るものがある。恋愛ドラマとしては、『パール･ハーバー』とほぼ同じ。

『ＰＬＡＮＥＴ　ＯＦ　ＴＨＥ　ＡＰＥＳ／猿の惑星』でも華麗な泳ぎを見せているエステラ・ウォーレンだが、この映画ではシンクロナイズド・スイミングの妙技を見せてくれる。でも彼女がカナダでシンクロの選手であったことを知らなければ、ストーリーと無関係の摩訶不思議なシーンとなってしまう。ところで、プールサイドにでっかい日の丸が掲揚されてあるのも『パール･ハーバー』並みだね。

＃追加レビュー　デジタル処理（01.08.25）

ジミーとボーが水没したメモを助けるクライマックス・シーン、いくつかのスチール写真ではジョーも飛び込んで、救出に加わっているとか！噂では、自分が目立ちすぎては良くない、ということで後からデジタル処理で消し去ったらしい。じつは誰か本人に言ったのかも（苦笑）。それにしてもこれが本当なら、デジタル処理ってなんでもありの世界だ。