[コメント] RED SHADOW 赤影(2001/日)
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忍者アクション映画。「仮面の忍者 赤影」の映画版リメイク。
前半、シリアスな展開かと思うと途端にコミカルな要素が入り、このままコメディで突っ走るのかと思えば、仲間が殺されてからは普通に真面目な展開に戻ってしまい、なんとも安定感がなさすぎる。アクションコメディと観るには、笑いの演出が中途半端だし、演じる役者もコミカルな演技に慣れていないのか、ぎこちなさが見える。随所で入るコメディ要素のせいで話にも緊迫感がなくストーリーが軽い。せめてアクションコメディで通すなら、もっと徹底してコメディシーンに力を入れて欲しかった。
それにしても、せっかくタイトルに「赤影」とついているのだから、もっと赤影の孤独なヒロイズムをかき立てるような演出をするべきだと思う。赤影は好きあっていた飛鳥が殺されたというのに、相手を復讐しないどころか、飛鳥を失ったことに未練を見せる様子もない。琴姫暗殺の際にも、任務に背き彼女を助けるシーンまで作っているのだから、「平和な世界のために影となって働くという」という教訓への迷いや葛藤、裏切った里の刺客や琴姫を狙う黒幕に狙わる覚悟で琴姫を守るぐらいの孤独な姿を描いた方がかっこよさが際立ってよかったような気がする。
それと、飛鳥を殺した弦斎を青影に復讐させないのも腑に落ちない。これでは飛鳥はただ殺されて終わってしまっただけで、演じる麻生久美子に対して失礼な気がする。また青影は弦斎への復讐のために一味の行方を捜していたと言うセリフがあったが、青影が敵の行方を捜すシーンもないし、飛鳥を好きだったと言うわりに、按摩の店の女性に現を抜かしたりと、飛鳥への復讐に燃えている感じが伝わらない。
突っ込みどころも結構多い。青影が城に侵入した際に現れた外国人の女忍者は結局何者だったのかとか。赤影が任務に逆らい琴姫を救出したのに、白影は裏切った赤影を抹殺するようなこともせず、終盤に敵陣に乗り込む赤影たちを助けるまで一体何をしていたのかとか。飛鳥が無敵の鋼がない状態で、殺されそうな赤影を救おうとなんの警戒もせずに敵に近づき、あっさり返り討ちに遭うところとか、演出が杜撰すぎる。
映画自体は不満だらけだが、アクションシーンはTV時代劇の忍者の動きよりも動きがスムーズで忍者のアクションを見ている気にはなった。
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