[コメント] テルミン(1993/英=米)
今、パソコンから発せられる電子音。テルミンの遺伝子が流れています。
例えば、救急車のサイレンの音を出してみる。例えば、受話器のベルの音を出してみる。シンセサイザ−に手を触れた人なら誰でも試みたのではないだろうか。本物の出す音とはまだ完全に同じとは言い難いが、それっぽい雰囲気はしっかり出ている。キーボードで現実音の模倣が出来るのだから、昔の人に使わせたらさぞかしびっくりするだろう。
たぶん、我々は音を希求している。それも今までに聞いたことのないような不思議で、心地の良い新しい音をだ。第2の、第3のテルミン博士を、そしてテルミンを潜在的に求めているのだと思う。
携帯電話に代表されるように、今や我々は一日のどこかで必ず電子音(テルミンの子孫だ)を聞いていることだろう。そんな携帯だが、(音から少し離れるが)カメラつきの電話に対し批判の声がある。確かに無用の長物とはいわないまでも、実用性はさほど高くはない。それにもかかわらず、新しい機種には多くの場合カメラ機能がついている。たぶん、我々は新しいものを求めているのだろう。未来的、機械的な発明に対する憧憬みたいなものは枯渇することを知らない。
「新しいもの」の洗礼を散々浴びている現代人ならともかく、戦前の人間にとってテルミンは驚異の発明だったに違いない。その不思議な音色と、マジック的な演奏法を目の当たりにし、人々は自分が「未来」に生きていると実感したのかもしれない。果たして私が生きている間に、彼らが受けたような未来的衝撃をどれほど味わえるのだろう?
どうでもいいがテルミンって演奏するのに手が疲れそうだな。
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