コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] チェブラーシカ(1969/露)

ウチのヨメが絶賛してるよ、ワニのゲーナを。ロシア映画というよりソ連映画。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







日本リメイク版の『チェブラーシカ』を(大人の事情で)我が家で鑑賞したのをきっかけに、ウチのヨメがワニのゲーナに惚れ込みましてね。それで今さらオリジナルを鑑賞したわけです。

ヨメがゲーナを絶賛する理由は、「自分の特性を最大限生かした職業に就いている」から。

この理由に加える私の解釈はこうだ。 世の中、自分の特性すら気付かない(気付こうとしない)人がほとんどである。 仮に自分の特性を知っても「本当はワニなんかに生まれとうなかった」などと、それを受け入れようとしない。 ゲーナは、己を知り、それを受け入れている立派な人物(ワニ)なのである。

しかし、ウチのヨメは、チェブラーシカは嫌いらしい。

我が家は基本、ダメな人や生きるのが下手な子は共感するが、バカは嫌いなのだ。 生きるのが下手な子、例えば『ジャーマン+雨』とか『ゴーストワールド』なんかとても共感する。 生きるのが上手な(要領がいい)子でも、「おじゃる丸」や「クレしん」は頭がいいから好きだ。 この世で最も嫌いなタイプが野比のび太で、バカのくせに要領よくやろうとする。しかも他人の力を借りて。おまけに微塵も反省しない。人間のクズ。こういう人間は社会悪でしかない。

そういうわけで、チェブラーシカはバカなので嫌いなのだろう。 と私は思ったのだが、「外来種だから」という理由だそうだ。 外来種は生態系を破壊するからね。

というムダ話はどうでもいいとして、真面目にこの映画を語ると、この時代にこのクオリティーでパペットアニメを作れる技術は凄いと思う。 ユーリ・ノルシュテインの師匠だとは、今の今まで知らなかったよ。 山下達郎の師匠が大滝詠一みたいなもんだね(<何のための例えだ?)

ただ、いろいろ調べて分かったのだが、原作は体制批判を目的としているそうなのだが、映画はかなり体制側を意識しているような気がする。原作者自身が脚本を書いているにも関わらず。 (例えば、3話目の工場排水の話は原作通りだが、2話目の行進に憧れる話は原作にないらしい。1話目も原作とは結末が異なるそうだ。)

この話の持つ「シュールな可笑しさ」は、ソビエト連邦共和国という体制による「理不尽」さに翻弄された結果なのかもしれない。 そういや、カネフスキーの映画にもシュールな可笑しさがあったんだよなぁ。

(11.10.12 DVDにて鑑賞)

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)DSCH[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。