[コメント] こころの湯(1999/中国)
やっぱり人間にとって、水は母みたいなものなんだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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銭湯シーンはもちろん、それ以外でも、水を使うことが多い映画だ。使い方もうまい。水が主役なのではないかとさえ思える。
--水の使い方では、テンポ良い冒頭のシャワーシーンのほかには、特に、銭湯で清掃中に、弟からホースを向けられた兄が、こちらを向いて、目を閉じたまま赤ん坊のように笑みを浮べて気持ち良さそうに無抵抗に背に水を受けているショットが秀逸。
--あそこに集まって来る男達にとって、あるいは母不在のあの一家にとっても、銭湯あるいは水そのものが母親の象徴であった気がする。(借金の取り立て屋にとってまで、あそこは暴力を慎むべき神聖な場所だった。)回想シーンで、嫁入り前に、必死に集めた水で自分の体を流しつつ涙する娘の後ろで、一所懸命に彼女のためにお湯を沸かす母の姿もまた、水から「母」を連想させる。そもそも人間自体、大昔は水の中の生物だったんだから、そこに「母」を求めるのは自然なことなのかもしれない。
--物語としては、一家の話はやや綺麗にまとめ過ぎの感は否めないとはいえ、細かいサブ・プロット的エピソードには良いものがあった。特に、お湯がないと歌えなくなってしまう青年、素っ裸で泥棒を追っかけてく嫁さんのくだりはかなり好き。
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