どんなに本人が背伸びして頑張ったつもりでも自分にしかなれない人ってのは、どんなに本当の自分を出そうとしても気付けば違うモノを演じてしまっている人間にとって、無様だろうが時に否応なしに眩しい存在に思えてしまうモノなんです。

恋に慎重なフリしながらも誘いがあればついついそんなこと忘れてその気になるし、「仕事が出来る女」を気取って転職しつつ次の職場でもドジっぷりを発揮するし（しかも本人あまり自覚がない）、守れないクセして新年の誓いのレベルを下げようとしないし、etc.・・・。ただ単に「自覚とか学習能力が欠落している女」と見られてもしょうがないのかもしれません。でもそのこともあって、彼女は屈折することもなく相も変わらずいい女になろうとするし、恋への期待に胸をふくらませるし。

あまりに突っ込みドコロ満載で「何でそんなに無防備でいられるの？」、なんて突っ込みを恐れてガチガチに防御を固めている部分を抱えている人間としては言いたくもなるのです。でもそんな彼女のあまりに無防備な「裸」っぷりだけでも、何だか信頼の置ける人間に思えてきたりもするワケです。そしてそんな彼女を見ていると、カッコ悪くて言えなかったこと出来なかったこと、現実とのギャップに引っ込めざるを得なかったモノが、どれだけ自分の中に多くあるかを、フと気付かされてしまったりも。

多分見た人によってこのブリジットっていうキャラクターの印象は、かなり違ってくるのかもしれません。少なくとも自分にとっては（おそらくbunqさんと同じニュアンスで）近くにいて欲しい人、そんな風に感じました。

そんなブリジットに惹かれる男二人。彼らもいろいろなカタチで「裸の自分」に嫌悪していたり、見失いそうになっている人間のような気がします。本当は受け入れて欲しいものを抱えているにも関わらず。そんな彼らが無防備な彼女に惹かれ、あまりに正直な彼女からカッコ悪い部分を受け入れると言われれば、そりゃあうれしくもなるワケでしょうね。彼らが彼女に惹かれるのも（少しだけ）分かるような気がします。あまりに調子の良過ぎる恋愛の筋書きとはいえ、そんな愛すべきブリジットに免じて、４点。