[コメント] モスクワは涙を信じない(1979/露)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ネタバレあらすじ
1958年、モスクワ。パン工場の女子労働者寮に住んでいるカテリーナ、リュドミーラ、アントニーナの3人。カテリーナは才媛だが、資格試験に失敗して落ち込んでいる。リュドーミラは、明るく楽天的で玉の輿を狙って男を物色している。アントニーナは、同じ工場にニコライという恋人がおり、地味だが堅実に生きている。
ある日、カテリーナが叔父の大学教授の高級マンションで一ヶ月間、留守番をすることになる。それを聞きつけたリュドーミラは、二人で上流階級の姉妹を演じ、著名な男たちをマンションに招こうと提案する。カテリーナは渋々それを承諾する。マンションに現れた男たちの中から、リュドーミラは人の良く酒を飲まない真面目なホッケー選手グーリンと、カテリーナは「新聞・映画・演劇などはすべてテレビにとって変わられる」と熱弁するテレビカメラマン・ラチェコフとくっつく。リュドーミラの方は上手くいくが、カテリーナのほうは、本当の職業を隠したまま身ごもってしまう。妊娠したことを伝えられずにいると、偶然、工場に取材にきていた彼と会い、ウソがばれてしまう。工場で働いていると知ったとたん、彼の態度は豹変し、カテリーナは一人で子供を育てる決心をする。
約20年後、アントニーナとニコライのふたりは幸せな家庭を築き、リュドーミラはアル中になったグーリンと別れ、カテリーナは工場長に出世し、大学生になったアレクサンドラを女手一つで育てていた。妻子持ちの男との不倫に空しさを感じていたカテリーナは、ある日、電車の中で多くの名前をもつ男・ゴーシャ(ゴーガ、ゲオルギーなど)と出会う。不思議な魅力を持つこの男に徐々に惹かれ、やっと幸せを手に入れようとしていたカテリーナだが、昔の男・ラチェコフが現れ、アレキサンドラに会わせろと、強引に家に押しかける。居合わせたゴーシャは、「また明日来るよ」と言って出て行ったきり姿をあらわさなくなる。ゴーシャの住所も苗字も知らないため、二度と会えないと取り乱すカテリーナの元に、リュードミラ、アントニーナ、ニコライがやってきて、ゴーシャを探し出し、カテリーナは本当の幸せを手に入れるのだった。
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この映画の魅力は、ゴーシャとカテリーナの二人によって支えられていると言って良いと思う。特に、初対面でカテリーナの素性を分析しだしたり、研究所の仕上工として教授たちに絶大な信頼を得ていたり、アレクサンドラの彼氏をチンピラから守ってやったり、突然現れた見ず知らずのニコライに普通にウォッカを注いでやったりするゴーシャは、ラチェコフのダメ男っぷりと好対象である。逆に、ゴーシャ以外の男は全然魅力的でなかったりする。
モスクワにやってきた3人の女性の物語とあるが、実際は、カテリーナひとりの物語だと思う。
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