[コメント] 拝啓天皇陛下様(1963/日)
渥美清という不世出の俳優。寅さんにも通じるナイーブな優しさを伝える見事な芸に感嘆した。人間の喜びと悲しみを喜劇で表現できる大スターが去って久しいが、いまだに惜しまれる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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がさつで乱暴、明るく陽気な主人公。しかし、内面は繊細で人を思いやり、好きな女性にも自分の心を伝えられない、ナイーブな優しさがある愛すべき人間。天性のものなのか、渥美清は自然にそれを演じていた。芸なのか、彼の内からにじみ出る人の良さや味わいは、誰にも出来ない。子供の頃、テレビドラマで見た『泣いてたまるか』の頃から彼を目にするだけで子供ながらに楽しい気分になった。寅さんもそうだが、そんな心優しさゆえに傷つく彼の姿は、何ともいえない哀愁も表現していた。喜劇役者でありながら、人間の悲しみも表現できる。そんな奥深さに見ているものが引き込まれる。
この映画でも、ついに幸せをつかんだと思ったら、事故で亡くなる彼。映画が進むにつれ彼が大好きになっていくのに、何故。映画の中では、こんな悲しく切ない気持ちを長門裕之と左幸子が代弁してくれる。
愛すべき男渥美清。不世出の大俳優である彼がなくなって久しいが、もっと彼を見たかった。
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