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[コメント] GO(2001/日)

爆発・黙考・喜び・不安・悲壮・混乱・反抗。心と行動の振幅が疾走感とともに見事にスクリーン上に展開される。非凡な映像センスとは、こういう事をいうのだろう。キレのいい脚本構成も見逃せない。
ぽんしゅう

■私の在日体験

●’68年、金嬉老事件。テレビのニュースを見ていた父が「この生意気な朝鮮人が!」と毒づいた。小学6年生の私に、父が言ったことの意味はもう理解できた。そして何ともいえない、その場から逃げ出したいような嫌な気分になった。後年、事件の顛末を詳しく知るようになって、“その言葉”が当時の少なからぬ日本人の心に巣くっていた感情だったことも知った。

●A川一子。中学の同級生。彼女が朝鮮人であることを執拗にからかう一部のグループがいた。悪質な言葉のいじめに始めは果敢に反論していた彼女の言葉が急に途切れ、みるみる大粒の涙が流れ出した。その時の悔しさにゆがんだ彼女の顔は、今でもはっきりと思い出せる。卒業後しばらくたって、一子が大阪ミナミの風俗店にいるという噂を聞いた。噂の出どころも真偽も不確かなものだった。

●中学の同級生M山勝利と偶然会ったのは、予備校帰りの電車の中。M山は喧嘩っ早が気のいいところもあり、どこか憎めない男だった。彼はジャケットの襟を裏返して、隠していた菱形のバッジを自慢げに私に見せた。二度目に会ったのは30代半ば、同窓会。勝利は山口組系M山組の組長になっていた。運転手付きのロールス・ロイス。クラスいちの出世者。

●会社に新人が入った。Y田安子。私の同僚で彼女の上司でもあるTが「一応お前も、知っておいてくれ」と彼女の履歴書を見せた。韓国籍だった。社内で余計なトラブルが起きないようにというTなりの気配りだったのだろう。ソウルオリンピック開会式のテレビ中継を社内で見る機会があった。Tは安子が同席していることを意識してか、やたらと民族衣装や音楽を誉めまくり日本文化のルーツは朝鮮である、と強調していた。

●パチンコ店オーナーを取材する仕事をした。お会いしたオーナーの7割は在日だった。あるお店の会議室で取材中、大きな袋をかついだ店員が「場所をお借りします」と入ってきてテーブルに袋の中身をぶちまけた。見た事もない量の札束。続いて「○○銀行です」と二名の銀行員が現れ三人でそれを数え始めた。「申し訳ありません。場所が無いもので」と私に丁寧に詫びたオーナーの目は、“どうだサラリーマン。驚いたか”と言っているように見えた。

在日問題にけりを付けられなかった一世・二世にクルパーは「ダッセ〜〜」と、言葉を投げつける。この言葉が日本人の若者から発せられる日は来るのだろか?そのとき、その言葉は間違いなく私に向けて発せられるだろう。私はクルパーの父同様、それを認めざるを得ない。

(評価:★5)

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