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[コメント] GO(2001/日)

国境さえ超えて行く、可能性の翼 × 地上に、舞い降りた、天使。。。
いくけん

映画人生の勝ち組み達=山崎努(『マルサの女』、『天国と地獄』)、紫咲コウ(『バトル・ロワイアル』)、山本太郎(彼も『バトル・ロワイアル』)、大竹しのぶ(『黒い家』?)、萩原聖人(『CURE』)、窪塚洋介(これから!)が織りなす、力強く、かつ、優しさに満ちた傑作映画。1・骨太で確固とした個性のある、彼らをストレートにキャスティングした行定勲監督のセンスが、凄い。これ自体が監督の、ただならぬ力量の証明に他ならない。邪念がない。2・あの人たちは、単に演技が上手いだけではないと思う。もともと自由でしなやかな感性を持っているのだろう。そして、人間性も優れているんだと思う。この映画の魅力になっている。才能だけでは出世しない。(ちょっと、自戒。)

●最初の方の、地下鉄でのチキンレースの場面。が、象徴している。

生き延びるためには、ひたすら前に、前に進まないと、極端に云えば殺されてしまう(関東大震災での集団リンチとか。)みたいな脅迫感が出ていた。(想像してみると、窒息しそうな日常だ。)あんな緊迫感を抱えて生きている。生き延びている。更には、社会の上層に、飛翔するものも出てくるのは当然、必然だ。

紫咲コウの登場場面←久しぶりに、映画の美に、痺れ痺れた。

パーティ、暗がり、階段からスローに舞い降りて来る天使。明滅する藍色の光。白い脚。完璧に整った横顔。背後に、落語、花魁(おいらん)高尾の件(くだり)。交差する近世と現代。快感。

妖艶。美しい。花魁の美。紫咲コウの美。フェロモン。闇の中でシンクロする想い。そして「高値の花」→在日の彼から見れば、やはり、手の届かない系のひと。(日本のコ、一応、大和撫子。)そんな思い、距離感を、背後の落語(和もの)が暗示する。すごく上手い演出。そして、切ない。

チキンつながりで→で、出逢ってすぐに、白い太ももを露(あら)わに見せる紫咲コウちゃん。おぬし、あなどれんの〜。(あの美味しそうなタンドリー・チキンに今すぐ、かぶりつきたい!←どうやって!)

●映画の後半

暗い色調の場面が続く。夜の帷(とばり)が続く。この監督は、こころの闇を知っている。孤独の渚を知っている。日本映画の将来を彼に託しても良い、と、ふと、思った。

(評価:★5)

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