[コメント] 風の谷のナウシカ(1984/日)
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1984年。この年はアニメ映画が最も輝いていた年だった。その中の一般には筆頭と言われているのが本作品。監督宮崎駿の渾身を込めた作品で、『カリオストロの城』以来、アニメをメジャーに押し上げようとしてきた宮崎氏の一つの答えとしての作品でもある。
この作品は宮崎氏自らが描く同名漫画の劇場版だが、この劇場化時、漫画の方は未だ途中であった(それどころか、実は1/3程度までしか描かれていない)。そこで原作を思い切り改竄し、不要な部分を切り捨て、更に設定までいくつか変えることによって劇場化にこぎつけている。そこまで原作を切り刻んだら、大概失敗作になるもんだが、さすがに本人。上手くまとめている。
確かに原作の持つメッセージ性や深く入り組んだ人間関係などとは較べものにならぬが、話を単純化した分メッセージが明確になり、更に原作半ばの大海嘯が大きくクローズ･アップされて、そこに巨神兵を絡めたあたりの発想はなかなかのもので、かなり良質の作品と言えよう。後に完成した原作の方がさすがに質的にも上とは言え、アニメでここまで描けたと言う点はトピックとも言えよう。そしてここで発掘された感のある久石譲の音楽。よくもここまでの質を作ることが出来たと素直に感心できる。
物語について言えば色々アラも出てくるし、あれだけ綺麗に作った割りに、よく観ると手を抜いた部分も結構見受けられたりして、いくらでも文句は出るが、その辺は仕方が無かろう(当時はそんなこと思いも寄らなかったんだし)。
この作品は私が中学生の時に劇場で観たのだが、その時は凄かった。あの時は家に帰って来るなり机の前にどかっと座り、大学ノートに思いつくまま感想やら自分の想いやらを書き綴り、結局夜半過ぎまで(時間にして多分6時間を超えたと思う)。思いのまま書き続け、結局大学ノート10数ページにびっしりと書いた大作の感想文を書き上げてしまった。当時の私にとって本当にそれだけの感動だったのである(その直後『うる星やつら２』により、こんなものではない本物の衝撃を受けることになるのだが)。今から思うと青臭い、それでも本当に大切な人生の一コマだった。
話は脱線するようだが、私にはいわゆる「萌え」要素というのが無いらしく、劇中の人間に感情移入したり、アイドルの写真を持って喜んだりする趣味が全然無いのだが、時々危なかった。と言うのが出たりする。アニメだと多分これがやばかった筆頭だろう。ナウシカに？いやいや。違う。私が本当にはまりそうになったのはクシャナの方。劇中、腕を外して、自分の身体のいくつかのパーツは人工のものであることを明かすのだが、その時の台詞は「やがて夫となる男は更におぞましきものを見るだろう」(うろ覚え)。これには参った。そうか、この人、下半身が…その時に、急速にこのキャラクターが気に入ってしまったのだ。ガンダム�靴痢屬�、母さん」に匹敵するマイ・ヒットの台詞だった。
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