[コメント] アメリ(2001/仏)
ITバブルが弾け散った2001年暮れ。おしゃれな街の小さな劇場に、めったに映画など観に行かない明るい自閉娘たちが大挙して押しかけた珍事は、この年の初めに首相になった小泉純一郎を、めったに選挙に行かないお調子者たちが妄信的に支持したバカ騒ぎに似ていた。
ポピュリズムは伝染るんです。
私は決して臆病な引きこもりじゃないし、気疲れするけど学校や職場のノリにちゃんと合わせるし、でも本当は他の娘(こ)たちよりちょっとだけ個性的で、みんな私のセンスはカワイイて誉めてくれるし、ファッションだって毎月雑誌みてお勉強してるし、あと、自然保護とかのエコは大切だと思うし、戦争は怖いからダメだと思うし、電車で立ってるお爺ちゃんがいると寝たふりする自分はいけない娘だと、ちゃんと反省できる良いヒトなんだけど、なんか、みんな私のこと分かってくれてないんじゃないかと・・・。決して不幸ではないけれど、もっと素敵な毎日が過ごせるはずだという、ささやかなようで、あまりにも贅沢な思いを、自分の代わりにアメリが実現してくれたんだ、と勘違いさせた呪術的逸品。
世の中の空気が煮詰まったとき、定期的に現れるガス抜きに映画。その意味での社会貢献度は決して小さくない。
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