[コメント] かあちゃん(2001/日)
例えばこれが市原悦子とか泉ピン子だったら本当に貧乏くさい絵になっちゃうしな、貧しくとも気高く気品があるということでこのキャストでよかったのかも。(bozoさんという岸恵子についてしかコメントのない方もいらっしゃいますが(^^))
しかし、『八つ墓村』の際豊川悦司という役者を知らなかったと言った市川先生、今の役者を知らなすぎです。本当に原田龍二で良かったの?他にもっと向いた人がいなかった?
そのせいかどうか、最近の先生の作品は役者の個性よりも自分の様式美に押し込めようとするきらいがある。一言で言ってしまえば「演技が妙」。最近と書いたものの実は『鹿鳴館』辺りから既におかしくなってきている気もする(でもうじきつよしは良かった。『CURE/キュア』の時も思ったけどいい役者だ)。
しかしこの一見妙な演技、今回は「落語テイスト」を狙ったゆえという説もある。たしかに冒頭のエピソードは落語「花色木綿」まんまだし、長屋の住人の会話、やけに多い独り言等々、もちろん話そのものは「人情喜劇」(和田夏十の脚本はやはり絶品)。監督の「衰え」とみるか「実験精神」とみるか非常に微妙。相変わらずの「着物の袖が襖に」等部分的に「らしさ」はあるけれど(カンナ掛けのシーンは市川ファンは爆笑のはず)。
余談
斜め後ろの席のオジサンが号泣していた。帰りのエレベーター(そこはいくつかの階に映画館がある)の中でそのオジサンは「いい映画でしたね」とやたら他人話しかけていた。すると声をかけられた一人の60歳くらいのオバサンは「これから『伊能忠敬』とハシゴ」と別の階で降りてしまった。取り残されたオジサンは悲しそうだったが、私をはじめ同乗していた人々は「オオッ!あの歳で元気だな!」と心の中で感嘆したのだった。あのオバサンこそ我々映画ファン理想の「かあちゃん」なのかもしれない。
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