終わり方の唐突さを嫌という程聞いていたので、私はDVDが全部揃ってから観ようと心に決めてました。（私はどちらかというとハリーポッター派なので、本当は観ないでおこうかとも思ったんですが…）そして劇場で観ないって事で察しはつくかと思いますが、原作は未読です。

結論から言うと、三部作の一作目としてこの出来は微妙かと思います。私は尺の長さはあまり感じませんでした。こんなに時間を忘れて没頭出来た映画って今までにないかも知れないです。それくらい時間を忘れて映画に没頭していたにも関わらず、何が微妙なのかと言うと、分からない事が多すぎるってところです。

まず、何故フロドが指輪を運ばなくてはならないのか。これは本人が一番合点がいかなさそうでしたが、それが全く分からない。そしてフロドは何故指輪に惑わされないのか。これがせめて二作目で解決してくれなきゃ困る。そこばかりが気になって、映画を観ている間もふと我にかえってしまうんです。

それから悪の権現であるサウロンがあまりに抽象的すぎる。生身の体もない悪に対し、恐怖心を抱けという方が無理であって、どことなく弱そうだし、全然怖くない。むしろサルマンやナズグルの方がよほど狡猾で悪意に満ちているように見えました。ナズグルに対する恐怖心の煽り方はとても巧いと思いました。

それからサムのフロドに対する敬語がものすごく気になるんですが、アレは何ですか？ガンダルフに魔法をかけられたんですか？何故ピピンとメリーはタメ口なのにサムだけが？そして何故フロドは偉そうなの？その主従関係がイマイチ分からない。私にとってこれはものすごく重要で、同じ「旅の仲間」であるのにそこに主従関係が生まれているのはどうしてなのか？魔法使いもエルフも人間もホビットもドワーフも、種族を超えて同じ仲間として旅立つのに、何故ホビット族の間でだけああいう主従関係があるのか。サムがいいヤツだけにそこが妙に気になります。

画作りや世界観はとても素晴らしく、これ本当にピーター・ジャクソンが作ったの？って疑ってしまう程。とにかく素晴らしいCGで、なんと表現すればいいのか…CGに生気が宿っているとでも言うんでしょうか。とにかく作り手からの愛がものすごく伝わってくる映画でした。こういうのをハリーポッターにも欲しいんだよ！･･･って思わず嫉妬してしまうほど。特に好きだったのは、こんもりとした温かみのあるホビット庄。この和やかでぽかぽかとした情景には惚れ惚れとしました。全ての色に「金色」が混ぜ合わさっている感じ。キラキラしていて温かみがあってとても素敵でした。家のデザインも可愛くてホビットらしいというか。そしてガンダルフの花火のシーンも素晴らしかった。暖かいホビット庄の風景と、生き生きとした彼らの表情が今後の布石である事は間違いないんでしょうね。そしてあの４人のホビットのホビットらしい顔！どこでこんなにホビットらしいホビットを見つけてきたの？ってくらいホビットしてましたね。とっても可愛い。まぁ本物見た事ないですけど。

そして話題のラストですが、これってやっぱりアレですかね？全部撮り終えてから三分割したって感じなんでしょうか。期待を裏切らない唐突な終わり方で、私はむしろ笑ってしまいました。

引き続き二つの搭を鑑賞しようと思います。私の中の疑問が一つでも解決されますように…。