このＤＶＤには「伝説はＤＶＤを究極に導いた」というコピーがつけられている。随分大袈裟だと思ったが、これは真実だった。

　ＤＶＤでは、４時間近くに内容が膨らんでいたが、それでも長過ぎるとは全く思わないほどの壮大な世界観と圧倒的な迫力で物語は進んで行く。劇場版同様、今回も同じ場所で第一幕は終幕するが（当たり前だが）、今回もジーンときてしまった。その後、何度も繰り返し観たが、やはり凄まじい作品だ。もし、さらに長いノーカット・バージョンがあるのなら、それも観てみたいと思うほど、この映画に対する欲求は費えない。

　約１年程前、劇場版を見る前、ふと疑問に思ったことがあった。英国文学の巨人Ｊ・Ｒ・Ｒ・トールキンの名作ファンタジーを、何故ニュージーランドの監督が映画化しようとしたのだろうと。このことは、その後もさっぱり分からなかったのだが、今回のＤＶＤ特典のメイキングを観て、彼の指輪物語に対する思い入れと、中つ国とニュージーランドの自然の意外な類似点がよく分かった。このメイキングも素晴らしいので、ファンには是非観てもらいたい。

　いまさらだが、もしトールキンが生きていたとしても、ピーター・ジャクソンにあれだけの情熱と創造力があることを知れば、映画版「指輪物語」に異を唱えることは絶対に無いだろう。それよりも私には、トールキンが満面の笑みでピーター・ジャクソンを讃えている姿が目に浮かぶ。

[2002.12.22]