[コメント] マルホランド・ドライブ(2001/米=仏)
人間も状況も多面的であるというのは自明でありながら、我々は常に一面としか対峙していないという錯覚の中にいる。ということは日常こそ錯覚であり、その裏にパラレルに存在する多面こそが現実であるというリンチの逆説的言質が切なさと不安をかきたてる。
「多面性」を作中で体現するためには、カミールとダイアン、リタとベティ、そして叔母ルースをも含めて主要な人物がみな「成り代わること」を天分とする「女優」であることは必然であった。特にナオミ・ワッツのスリリングな多面の具現化は、日常の境界を自在に行き交うリンチワールドの中に打ち込まれる肉体と感情のアンカーとして重要な意味を持っていたと思う。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (7 人) | [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。