[コメント] マルホランド・ドライブ(2001/米=仏)
これはリンチらしい不条理劇の目下のところの集大成だ。また女優の多面性を引き出す演出についても抜きん出ている。ナオミ・ワッツの登場の可憐さ、オーディション・シーンの妖艶さ、ラストに向かって加速度的に崩れていく様。もう堪りません。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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記憶喪失者の過去を辿る物語、或いは女優の卵の素人探偵モノとして引っ張っていく前半のテンションも大したもので「どうせこのストーリはどこかで崩壊するのだろう」と思いながら見ていたのだが、「これはこれで一般的なミステリー映画として落とし前がつけられたなら大傑作だ」とも思っていたぐらい。しかしラスト近くで一気にストーリを放棄する潔さも図抜けている。清冽なナオミ・ワッツが憎悪の塊に変転する、或いは終始怯えていたローラ・ハリングが図太い貫禄を見せるコントラストの妙。また序盤で登場させた壁の向こうの怖い顔の男までキチンと絡ませて描いて見せるのだから狡猾なぐらい巧い。往年のMGMミュージカル・ファンとしてはアン・ミラーの扱いも涙が出るくらい嬉しい。
この作品のような梗概(あらすじ)を記しただけでは全く面白みが判らない、しかしながら映画の画面として造型されたものを見ると圧倒的な魅力を感じる、という類の作品こそ真の「映画」だと思う。
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