[コメント] モンスターズ・インク(2001/米)
子どもがいなかったら、また違った評価になっただろうな。
子どもの悲鳴がモンスターの世界のエネルギー源、厳しい会社経営やノルマ達成など、想像力の広がりが感じられない、大人が頭の中で組み立てましたという感じの設定はアメリカ的でいただけない。でも、大人が子どもへ抱く愛情を説教くさくなりすぎず、ユーモラスに描いているところにとても共感する。
ブーがゴミといっしょにスクラップされたと勘違いして、「あっあっあっ…」と息を飲み、立ちすくみ、気絶してしまうサリー。オーバーに反応するのではなく、立ちすくんでしまうところに「そうそう、親ってこんな感じ」とくすりとしてしまう。大人(というか親)にとって幼い子どもはまさにモンスターであり、愛しくて愛しくてたまらない存在なのだ。映画を作っている人々にもまた、それぞれに愛しい子どもがいることが伝わってくる。
ばりばりの悪者がいるわけでもなく、完全無敵な正義のヒーローがいるわけでもない。仕事ができて、性格のいいサリーがモテモテじゃなく、マイクが受付嬢とうまくいくというのも、偏りがなくて好印象。恐怖より笑いに価値を置く良心的なメッセージもいい。骨抜きの子ども騙しの世界と言われればそうかもしれないが、子どもはまずはこういう確かな愛情の世界に触れて欲しいと、親として思う。そういう確かな足場があってこそ、現実の混沌とした世界に立ち向かっていけるのだから。
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