コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] モンスターズ・インク(2001/米)

ここには怪物の哀しみは微塵もない。あるのはサラリーマンの悲哀。なんと夢のない話。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







話はまんま『E.T.』じゃん。しかも後退してるし。(いずれにせよ「かぐや姫」なんだけど)

正直言って、楽しくて面白い映画であることが約束された完成度の高い作品で、観客の期待通りに(それ以上でも以下でもなく)応えてくれる映画に私のコメントの出番はない、と思って観に行ったんだけどね。

あったね。内容だけなら2点。

新鮮味があるとかないとかいう次元ではない。モンスター物として根本から違う。

この映画は「怪物」視点である必然性がない。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の『シザーハンズ』のそして『フランケンシュタイン』の「怪物であるが故の哀しみ」が無い。『トイ・ストーリー』にはオモチャであるが故の哀しみがあったではないか。(その点、宮崎駿は視点を常に人間側に置いている所がやはり上手い。)

悲鳴でもなんでもいいけど、怪物達が体を張って集めるのが「ノルマ」だぁ?なんと夢のない。『ブレードランナー』や『ロスト・チルドレン』のような自らの存在意義を問う魂を震わすような理由はないのか(あれは人造人間か)。

それにあのラスト。1点級。いくら表情だけで見せようと、会っちゃう辺りがアメリカ的で大嫌い。

俺だったら、扉を開けないか、扉を開ける後ろ姿だけで終わらせるか、彼女が大きくなっていて既にモンスターの事は忘れていた(あるいはモンスターの姿が見えない)というオチにするけどね。

そもそもナンバーワン営業マンって設定もアメリカ的。ストーリー上の必要性以外はその存在意味が分からない悪役(そこにも悪役としての哀しみが微塵もない)。ヒーローと敵役。勧善懲悪。嗚呼アメリカ万歳ってか。

あの質感、あの表情、口と台詞が寸分違わず一致する技術(字幕版)、スピード感。技術面は抜群。否、それ以上。そして笑ったよ。だから2点はつけられなかった。

え?子供映画に目くじら立てるなって?子供の夢を全てぶち壊しにするようなNGシーン付け足しといて子供映画?オモチャが一生懸命演技してましたってのは夢があっていいけど、あの子役も全て演技でしたってオチになっちゃうだろ。ウケを狙いすぎて、子供向けとして最も必要な「夢」すらここにはない。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (19 人)月魚[*] もがみがわ 埴猪口[*] ゆーこ and One thing[*] [*] tredair[*] guriguri[*] 鵜 白 舞[*] ぱーこ[*] セネダ[*] ゆの[*] パッチ[*] けにろん[*] ina アルシュ[*] ジョニー・でぶ 4分33秒[*] Yasu[*] muffler&silencer[消音装置][*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。