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[コメント] エネミー・ライン(2001/米)

ご都合主義は仕方ない。皆さんの言う通りラストの説明も蛇足。しかしなんだろうな、やっぱかっこいいよ・・。2002年3月12日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なんて完璧な映像センスなんでしょう。 冒頭の出撃までの細かいカットで早い映像で完全にノックダウン。けどこの勢いを冒頭からやって大丈夫なのか?って思わせてもラストまでその勢いは持続される。

「風の強さを見ようぜ!」とかいいボールをとばし海に落ちて流れていくボールに「うぃるそぉ〜ん!」って叫ぶ小ネタも披露。しっかり笑いました(笑)

最初からああいうシーンあるから「そこまで堅苦しくないのかな?」って思えば急な展開で偵察行き。

そしてミサイルに追われる映像で再び興奮!もうあの映像といったら。 しかしこの映画のとりえはこの戦闘機の映像だけではない、主人公が森を走るシーンや、ラストの銃撃。などなど。はっきり言って並じゃないです。

しかもこの手の映画は背後に「戦争直前の危険」があるのですから、下手の動きもできない。けど部下は助けたい。しかし上官の命令で・・・。 という私の大好きなパターン『クリムゾン・タイド』も背景に核戦争があったから、さらに盛り上がったのでしょう。

しかも音楽も大音響で流しているだけではなく、ラストのハードディスクを取りに行く時のスローモーションと音楽のマッチで泣きそうになった私。 はっきり言ってこの監督は映画的興奮を知り尽くしているというか、視覚的興奮を知り尽くしているというか、聴覚的興奮を知り尽くしていると言うか・・。 ここまで素晴らしいアクション映画も珍しい。

しかもただ爆発(地雷など)の映像がすごいだけで、さらにスローモーション多用なんてジョン・ウーに言わせて見ればまだまだ。 しかし、この映画の映像を絶賛する理由は他にもあります。 それは「色の対比」です。

あの地方では雪がありますよね。ラストで狙撃手との一騎打ちで主人公(オーウェン・ウィルソン)のベレッタの黒と雪の対比。さらにスナイパーの銃と雪との対比。そこに殴り合いで零れ落ちる赤い液体(血)。完璧に絵になってます。 カメラワークも動きすぎているのに、なぜか気にならないどころか、完璧に映画にマッチしている。 テレビでの実況中継を見ているような映像で素晴らしい。 このスローモーション多用はジョン・ウーと少し違い、また別の場所で多用しておりますね。 ただ普段にある場所に。ジョン・ウーは銃撃戦の中に取り入れることが多いですが、こちらはただ逃げ回るだけの中や、歩いているところ、音が聞こえてくるところ。 しかもそこに大音響で流れる音楽。 と、地上戦は完璧。

空中戦も行き詰まることはきないですが(空中戦は潜水艦と違い動きが速いので、展開も早くなるので)とにかく凄い! 閃光弾の発射シーンなんて血の温度が上がります。 さっきも言ったけど冒頭の出撃までの準備の早いカットの映像も注目ですが、閃光弾にも注目を。

と戦闘シーンも抜群で、背景の「戦争」もあるのでドラマも盛り上がる。言うことなし・・・。ではないですね。

3つだけ甘い点が残りました。

最初に三菱のパジェロ。いや、まぁパジェロを映画に登場させたのは別にどうでもいいけど、なぜ車体が全然汚れてないの?あの地方でしかも山の上に雪があるってことは下のほうは雪がとけて、地面は泥。なのに汚れなし。なぜ?

次にあの狙撃手。なぜジャージ?なぜジャージ?もしかしてこれも「戦場と日常の対比」でも狙ったのか?意味不明。しかもあのライフル威力めっちゃ高くないですか?主人公がダムのところで休んでた時一発で後ろの壁が吹き飛びましたよ。

最後に銃器設定ですね。スナイパーのライフルは別として、あの地方だとAK−47が主流のはずです。 しかもNATOと対立していた(あくまで過去形です)国なのに、なぜアメリカの、しかも海兵隊と同じ銃のH&KのMP5シリーズなの?しかもMP5A5だし。ハンドガンはきちんと確認できなかったけどCZなんとかじゃなかったかな?これはロシアかどこかの拳銃でしたっけ?こちらはヨシです。けどなぜMP5シリーズ?これが一番謎です。手を抜いたとしか思えません。

しかしこんなささいなてんも余り気にせず、見れる映画です。展開が早いので飽きさせない、しかも映像も凄い!さらにラストは現実的なラストが待っている。そうジーン・ハックマンの解任。普通だとハッピーエンドで、職務続行とかになるだろうなぁとか一人で関心。 けどジーン・ハックマンはハマリ役ですね。軍人でしかも厳格な人が似合いますよ。彼が空母から出て行くとき、敬礼をせずに降りた姿は、なにか背中に悲しみを感じましたが、「未練はない」って感じでカッコ良さに涙しそうでした・・・。

ただ『ランボー』でもそうでしたが、今のこの時代に一人で闘う兵士はいないもんですよね。この時代は親指一つで戦争を終わらせるどころか地球を滅ぼすこともできる時代ですしね・・・。そう言う意味では突っ込むべきなのか、べきでないのか・・・。単に娯楽と割り切れば傑作なのですが・・・。

映像&映像センス(戦闘シーンを除き、スローモーション、雪との対比などを含め)・・・5☆☆☆☆☆ 展開・・・5☆☆☆☆☆ 話の内容・・・4☆☆☆☆ 音楽・・・5☆☆☆☆ 戦闘シーン(地上、空中含む)・・・5☆☆☆☆☆ 銃器設定・・・2☆☆

総合・・・4☆☆☆☆

(評価:★4)

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