[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦(2002/日)
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クレしんならではのギャグの炸裂度が弱い。しんのすけは狂言廻しであり、主人公になっていないし、約430年前の「春日部防衛隊」も弾けていない。
時代考証に関して言えば、春日城の石垣の無い平城には「おおっ!考証が出来ている」と思いきや、高虎の居城は姫路城張りの天守閣付きである。天守閣付きでそれも綺麗な積み方の石垣の城が登場するのは、信長の時代に入ってからだ。
合戦シーンは従来の大河ドラマなどを塗り替える様な斬新な描写だ。しかし、「鉄砲の三段撃ち」は長篠・設楽が原の合戦で知られる天正3年が初めてなのだ。この設楽が原の合戦ですら怪しいと最近は言われているくらいだから、最新の判明している時代考証からすれば外れている。
プラス出来るポイントとしては、平凡な現代人の一家が合戦と言う状況に追い込まれたのは正直恐怖を覚えた。ひろしの立場に立って考えれば、家内は手篭めにされ、自分と大切な子供の首が刎ねられるのを想定していたであろう。ひろしの身震いに同じ父親として、その気持ちが痛い程伝わった。そして自分の子供を思う気持−「しんのすけ居ない世界に未練は無い」には心を打たれた。現代の閉塞感を打ち破る「野原一家ファイヤー!!」といった野原家のパワーには見習うべきものがある。
老城主が未来を知りながらも、戦国の世の習いに従って生きるしか道はないと語る場面もいい。私達サラリーマンがせこせこ働こうが、400年後の未来から見れば、些事でしかない事を痛感する。
だからこそ、おまたのオジサン又兵衛がラストで命を落とすのも、お涙頂戴手法として卑怯。春日家が歴史から姿を消すのは歴然だから、その後の歴史をエンドクレジットで流して、空しさを伝えて欲しかった。
やはり、これはクレしんである必要性がない。原恵一個人の趣味が暴走しはじめているのが気になる。
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