ビルの谷間を糸を駆使し、駆け回って活躍を見せる所がスパイダーマンの醍醐味ではある。けれど本作では何気ない部分の描写が丁寧で惹き付けられる。学校の食堂でMJ(キルスティン)の落としそうになるトレーをピーター（マグワイヤ）が素早く拾うシーンに感激。ピーターが自分の部屋でボディスーツのデザインをしていたり、グリーンゴブリン（デフォー）と会話させ「だからヒーローは嫌いなんだ」と語らせていたりの遊び心も好き。『スーパーマン』の清廉潔白さ、『バットマン』の翳りあるスーパーヒーローぶりとも異なる時代と呼応した『スパイダーマン』の人間らしさを感じさせるヒーローっぷりが爽快。脚本に関してはラストがあまりにも次回ハリー（フランコ）で何かしてやるぞ！と言う伏線を張り過ぎるのが気にはなるものの全体的にはエンタテイメント観に徹してて好感。グリーンゴブリンのデザインが凝り過ぎていてダサイのが気にはなる。その分シンプルなスパイダーマンのデザインの格好よさが目立つわけですが…。二人の対決が夜のシーンが多いのも残念（CG処理上の問題か？）。話題になった二人のキスシーンはキルスティンはともかく、逆さのマグワイヤの首筋がホラー映画ばりの血管浮きまくりで怖かった。ブーム過ぎ去る前に続編を早く公開して欲しい。で、MJ役のキルスティンが評判悪いのは何故だろう？シャープで年よりも大人であるとう自信に溢れる彼女の像は、お子さま大国日本には受け入れがたいのかな？。

「君の街のスパイダーマンだ！」byマグワイア