異形のヒーローとしての悲しみがまったく感じられないのが、一番ダメなところだ。スパイダーマンやってても、日常生活にぜんぜん問題ないしなー。勝手に自分の運命の哀れさに陶酔してＭＪを拒絶するのには、まったく同感できない。ＭＪと楽しくやりながら、スパイダーマンすればいいじゃん。正体がバレても、ぜんぜん問題ないしー。

スパイダーマンに偶然なってしまったことの、「gift」な一面は十分に描かれていたけど、「curse」としての面は、どこへ行っちゃったんだ？オジサンの死は、あまりにも御都合主義的グッドタイミング（バッドタイミング？）だったので、ぜんぜん悲しめなかった。

「ば、ば、ばけものぉ〜。ひ〜〜〜！」って、助けた人に言われちゃうくらいグロテスクにしてほしかったな。「デビルマン」、「妖怪人間ベム」、「猫目小僧」など、僕が愛してやまないキャラには、ぬぐい切れない悲しみがある。

DNAが、あれだけボコっと変化してるんだから、タイツを着るんじゃなくて、あるキッカケで身体自体が気持ち悪くクモっぽく変化してほしいなぁ。映像にも、もっと影を出して、重たくて暗い感じが良かった。幅広い層への迎合が、この映画がイマイチになった原因だな。

まぁ、アメリカでここまで多くの人に愛されてると、なかなか原作は崩せないんだろうなぁ……。わかるんだけど、もっと大胆な解釈で大人向けの話にして欲しかったなー。これじゃ、サム･ライミが監督やる意味ないよ。すっごく期待してたのに、残念だ。まぁ昔、東京12チャンネルで放送していた「アメリカン・ゴシック」っていうＴＶドラマでも、毎週騙されぱなしだったけどね。

エンディングのセリフが、「ダークマン」のエンディングと同じ感じになってるところは、グッときぜ！

いろいろ言いたい放題しましたが、サム･ライミ＆スパイダーマンへの愛あればこそなのです。続編では、もっとやりたい放題しておくれ〜！期待してるぜぃ。