[コメント] KT(2002/日=韓国)
「真剣な人間」たちが交錯するドラマという点で優れている。金大中拉致事件を取り上げた視点を評価出来る。「日本人の政治思想」をこれに絡めるのは難しい。では『突入せよ!』と何が違うのか。4.3点。
「今」を描いても「70年代」になってしまうというペペロンチーノさんの脚本家評は面白い。ぼくはこの映画は70年代(或いはそのもう少し後)に見ないと良く理解出来ない気がする(それは無理な訳だが)。
登場人物たちの思想信条的(心情的)背景を「この映画」の中で説明調で語るのはムリなのでは? 或る程度の臨場感と了解事項がないと視づらい映画ではあった。楯の会事件を冒頭に持ってくる物語は多いと思うけど,それで説明し切れない世紀になっちゃったという事か。
佐藤浩一を節操のない幼児的な人物と弾劾する声が大きいけれど,外を向くしかなかった以前の若者たちの多くは,得てしてしばしば熱中症に罹ってしまう「革命的日和見主義者」だったと思う。切実な時代の空気がそれを許し,演出していたとも言える。で,政治的情熱で国家を動かそうとすることの限界を知った原田芳雄は,総力戦を放棄しつつも市井の中で自らが出来ることを模索することはやめない,そんな人物。そんなひとだけが恐らく現代まで前線で生き残っているのだろう。
ともあれ,みなさんのコメントがいつもとは違った熱を帯びているような気がするのはぼくだけだろうか。熱源となり得るだけの映画であった。
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