[コメント] 鬼が来た!(2000/中国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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日本人として、採点する資格さえあるのかと言う逡巡もありましたが、「ああ、これは確かにまさに日本人の存在であり、論法だなあ」と実感する事が出来るのは、同じ日本人だけと言う事で。それとも「人間」には普遍的な有り様なのだろうか?ただ、単に「これはもうすでに過去の日本人体質だから」と、切り離しては感じられないくらい、自分達が今でもいかに異常な環境に身を置かれる事が多いかの明かしとはなっている。ああ、明日にでも同じような事、似たような事が目の前で起きても、心底恐れはしても、ちっとも驚きはしない。規模は違えど、自分さえもあのマーを手にかけた様な過ちをかつて犯した事もおそらくはある。
「やだー、ムカシのにほんじんってホントひどいわねー、しんじられなーい」と口を拭ってはいられない。でも思わずそうしそうになる。『ノー・マンズ・ランド』はアメリカアカデミーで賞を取り、この作品は「監督の狙い通り」カンヌを制覇した。裏を返せばこれは全部同じ事ではないのか。それと同様に、今でも「私」の姿を見た、とはどうしても描けない、にもかかわらず国内では未公開のこの中国映画。
つまり、他人の罪を責める事は、はっきり言って人として比較的容易なあり方だ。
では、自分の罪を自分の物として認めようとした時、人は一体実際どうすりゃいいってのか?誰か教えてくれ!「悪かった」って思うだけでいいのかしら?
自分自身も、連れてこられた時の2人やラストの主人公のように、何か大きく苦い痛みの固まりを、口の中に押し込められたままのような後味。「契約書」の日付が「8月15日」だと読みあげられた時から、嫌な予感はしていました。
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