[コメント] 鬼が来た!(2000/中国)
鬼の世界が日常だったとしたら・・・。物語を成してないから私は評価をしないけど、むしろ、戦争ほど、本来は物語が似合う舞台も無いんだよな。(041012)
終盤、話に引き込まれなくなるのは、物語が分断されているからだろう。理解不能な展開によって、予想外の方向へ何度も転がる。その都度、理由を探すがよくわからない。考えてるうちに、また、理由無き行動が起こり・・・。しかし、考えてみれば、この作品、終止理由の不明な現象ばかりなのである。そもそも、日本兵と通訳が麻袋に詰められて村へ運ばれたのは何だったのか?舞台の村も、戦闘無き「戦時中」の村だ。突き詰めれば、妙なことばかりである。香川照之の日本兵だって、なぜ当初の態度を変えたのか?いや、当初の態度こそ何だったのか・・・?
案外、これこそ、戦争という日常に潜む狂気なのかもしれない。全てが理解不能の中で、理不尽な命令によって、平穏と不穏が無秩序に起こる。こんな戦争をより客観的に描こうとすると、どうしても、見えない理由がみつかる。そこに理由をくっつけて描くと、正義だったり、ヒューマニズムだったりで、娯楽だろうが社会派だろうが、いろんな作品ができあがる。そして、現実の戦争自体、いろんなこじつけの理由によって支えられているものだ。この作品は、敢えて理由を提示しないまま戦争という現象の中の人間模様を描いたが故に、戦争自体の理解不能を作品の意味にしてしまったのかもしれない。「狂気という不条理」だろうか。
凡庸な作品とは思わないが、やはり私には、戦争を理解することはできないのかもしれない、という判断での採点となってしまった。本来、戦争自体、こんなに不毛なモノなんだろうなぁ、などと、ぼんやり考えている。
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