[コメント] 活きる(1994/香港=中国)
歴史の勉強にはもってこいですね。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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映画では全く政治的な表現は施されていないのですが、これだけ歴史的な映画を実感することはなかなかできません。
いまや中国はアメリカに次いで世界第2位の経済大国に躍り出ることが確実視されていますが、そんな中国でついこの間まで実際に培われていた現実が見事に映像化されていましたね。
本国の中国で、この作品はいまだに上映を許されていないようですが、中国の方にとってこの映画はどのように映るんでしょうか。
中国は日本の裏表ですね。
この映画に出てくる現実はきっと、日本の戦後でもあると思います。そしてそんな苦悩を乗り越えて世界最大の経済国家に至った経緯を、この映画でも彷彿とさせてくれますね。
私はこの映画最大の魅力は音楽だと思います。影絵とともに奏でる民族音楽のあの迫力こそが、当時の中国人民の息遣いであって、その迫力ある音響がこの映画の全編を覆います。
さまざまなきっかけで自らと自らの家族の大河のような流れに乗り、そして時代の変化を追随する人の姿。これはきわめて政治的な映画でありながら、人間の根源に横たわる利他主義の抑制について緻密に表現していると思いました。
「活きる」ということが「生きる」と異なる点に注力した作家の執念と熱意に敬意を表したいですね。素晴らしい作品だったと思います。
2010/02/26 自宅
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