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[コメント] フォロウィング(1998/英)

フィルムノワールマニアの叙述好きの、予算に応じて脚本を変幻自在に要求通り書けるクリストファー・ノーラン監督、秀才です。(注意:『メメント』を先に見るべし!)
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







でも、天才じゃない。秀才どまりな空気が漂ってます。

この作品の第一印象は『メメント』と同じ流れが存在し、新鮮みが欠けている。『メメント』を先に見た私は、見る順番を間違えてしまったのだろうか?『フォロウィング』→『メメント』と見るべきだったのか?

答えはノーだろう。どう考えても先に『メメント』を見て正解。それは『メメント』は『フォロウィング』を大きくしたからであり、『フォロウィング』の答えが『メメント』とほぼ同じで、『メメント』で展開される(この作品より、より洗練され完成系に近づいた)手法の新鮮さが損なわれる恐れがあるから。まぁ、どっちでもいいんだけど、自分ならスケールや展開を見る限り、『フォロウィング』<『メメント』だから、何度考えてもこうなってしまう。

内容というと、70分という短期間決戦を頭脳一つで挑み、見事成功&メメント的でありながらも文化系のファイトクラブなので面白かった。だがラストは夢オチに近いものがあるので、2回目は相当辛いかも。メメント同様に2回目以降も、様々な解釈を新しく発掘できる可能性は秘めている。だがその一回目見たときと違う解釈が「素晴らしいのか?」というと、そうでもないのも、残念だが事実。

…と言いつつ面白かったのでフォローする。

作家志望の主人公が脳で考えたストーリーを単品で、よくよく見ると、実は大したことじゃない。が、そこに一生芽が出ない作家志望の青年が矛盾無くリアルに表現されていると感じる。さらに、そこにはクリストファー・ノーラン監督の構成技術の巧さも存在しているのが憎い。何と言っても、登場人物が4〜5人というこぢんまりとした雰囲気なのだが、広がりが感じられる展開になっており素晴らしい!その勝因は、人間の不思議や神秘性を描いても描いても描ききれない部分を映画史から発見し、それを観客に疑似体験させてくれた監督のサービス精神であろう。

この先5年は軽く、「低予算映画の鏡と言うべき作品」ランキング上位は間違いないAAA作品。

2002/10/7

(評価:★4)

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