低予算映画だし、制約もある中、これだけのサスペンスを作ったクリストファー・ノーラン監督は才能がある監督だ。監督執筆の脚本がアイデアも非常に面白いし、ストーリーも良く練られている。予算的に厳しく制約も多いので、予めそれを頭に入れて脚本を書いたらしいが、その限られた状況下でも才能を遺憾なく発揮していた。

　だが、良質な映画ではあるのだが、やはり製作が難航したのが伺える。『メメント』を先に見たのだが、あちらを先に見てしまうと、レベルと規模が上がっているだけに少し物足りなさを感じてしまうのも事実。『フォロウィング』は良質のサスペンス止まりだが、『メメント』は良質のサスペンスな上に深いメッセージが込められているから。これから見る方は『フォロウィング』から先に見ることを是非ともお勧めします。と言っても、この映画は『メメント』に合わせて日本公開されたわけだし・・・。

　クリストファー・ノーラン監督だが、彼には今後を期待したいと同時に、今後が少し心配でもある。同系統の映画を2本撮り、手腕も確実にアップしているのだが、このスタイルでいつか失敗しそうな予感が･･･。そういった意味でも、次回作『インソムニア』には注目したい。ソダーバーグ製作、主演にアル･パチーノ、ロビン・ウィリアムス、ヒラリー・スワンクを揃えているだけに名前負けしないで欲しいです。アカデミー監督製作で、主演3人全員オスカー経験者だなんて・・・。