[コメント] 海の神兵(1945/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭の兵隊マンキチ田舎へ帰省、背丈が巨大になったり戻ったりするワニが奇怪な印象を残す。これがさっそく私的ベスト。以降はただディズニーの模倣が出来上がっただけに見える。親鳥と雛の描写や、胞子の乱舞(落下傘に見立てられる)、並んで尻振るリズ等々。中では弟と帽子の野原での戯れが感じよく描かれるのだが、結局はシンボルと戯れる画と解されるだろう。表層だけ褒めると絡めとられる。
この序盤は子供たちに飛行兵の勧誘している具合だ。兵隊の格好良さ、これに子供が憧れるのは自然なことだと強調される。この猿は弟救済のために両手をプロペラにして川の上を飛んでいる。それなら飛行機に乗らなくてもいいのにと思う。
所変わって南の島、兎の設営本部、象やら犀やら動物たちの格納庫建設、羽ばたく旭日旗。当然にここは占領地、現地の動物に労働させ、その動物相手に屋外授業で「あいうえお」と教え始める。日本語強制の同化施策そのもので、フランス、ロレーヌ地方を占領したナチのドイツ語強制はじめ、占領後には必ず見られる光景。これを映画は面白おかしく描写しておぞましい。
ゴアの王様が治めていた美しい南方の島、商人の振りして占領する海賊。民族再興のため日帝が駆けつける落下傘。41年の落下傘部隊「空の神兵」の上陸はセレベス島メナドとスマトラ島パレンバンで、インドシナは日帝に何頼んだ訳ではない。敵兵への桃太郎の詰め寄り方はイエスかノーかの山下奉文を真似ている、というかそのまんま。洗脳された日本人は大笑いしたのだろう。
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