[コメント] ピンポン(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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役者>監督>脚本>原作。通常映画を見ているときはこの順で意識にのぼるがこの作品は違った。
冒頭 "Yes you can fly!"のストップモーションに至るシーンで、これは松本大洋だー、と思う。原作未見、花男ぐらいしか知らない。きっとアングルがそう思わせるのだ。マンガ原作の実写板としては珍しく成功している。見た後で原作購入一気に読んだ。各キャラ映画にそっくりじゃん、と思うほどスマイル・ドラゴン・アクマ・ペコ(この順に好き)まんまだった。監督の原作に対する思い入れがうかがえる。おばば(久本雅美じゃないんだけどなあ、と思っていたら夏木マリだった)と老年バタフライジョー(そんなに悪くない)はやや外した感。
GOと匂いが似ている、と思ったらこの脚本が有名な「クドカン」なのか。始めて知りました。原作と比べると、細かなところの設定など実にうまい。「ペコ」タイプの天才なのかも。冒頭のシーンを後半の転回点に持ってくる構成など、やられた、と思う。
過去の名作が隠し味のように仕組まれていて、これも楽しめた。「お前がいつも1番だった」スマイル→ペコのせりふはAKIRAの「金田ー!」に続くテツオだし、ラスト、ペコードラゴン戦の境地は明日のジョーのホセメンドゥーサ戦そのものである。
☆5つでもいいと思ったが、好みでー1。 くどいと思われる演出。たとえば、2度目の I can fly! シーン。すぐにわかるから、コマ落としで飛ばすとか、別のアングルでセリフ同じにするとか、冒頭とまんま同じと受け取れたのくどいかな、と。おばばいつもタバコ加えていなくていい。鉄人28号お面ヒーローの出し方(ドカーンとマンガで行くか、モロ実写でちゃちくするか。いずれにしてもあいまいに多すぎ)。ロッカールームのくずれゆくバタフライ幻想シーンも同様の感想。後半進行がもたついたくる印象。ペコ−ドラゴン戦以降はサクサク進行、スタイリッシュにまとめて欲しかった。いずれもこらえ性がなくなってきたじじいの繰り言であります。
とはいえ、卓球シーンの(CG)迫力。原作をここまで描ききった力量、並々ならぬものを感じた。この作品では努力第一の「アクマ」型だと推測されるけど、もしかしたら「スマイル」タイプの才人かも知れぬ曽利文彦監督の次回作も期待!
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