[コメント] ピンポン(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
映画を見る前に、松本大洋の『ピンポン』を読んで、予習をした。
この漫画はピンポン(卓球)に情熱をかけるスポ根モノであるが、 勝ち負けを描いた作品ではない。いきなりラストに言及するが、 ペコとスマイルの勝負がはしょられているのが、その証拠である。 じゃぁ、何を描いたの? と考えれば、5人の群像劇である。 情熱を傾ける、高校生5人の姿である。
ペコは、才能はあるけど、努力をしない奴だった。 自分の才能に胡座をかき、ほどほどの成績に甘んじていた。
スマイルは、卓球に人生をかけるなんてバカだと考えてる。けど、 コーチに才能を見い出され、トレーニングを嫌々ながら受ける。
ドラゴンは、常勝の宿命をプレッシャーに感じ、そして怯え、 卓球そのものを苦しみと感じている。
チャイナは、日本に来たことを挫折と思っている。10代のくせに、 負け組の辛酸をなめている。
アクマは、凡人。でも、それを認めたくない。だから人一倍、 努力する。けど、ダメな奴。
・・・と5人のキャラクターを簡単に書いてみたが、一人の成功者(ペコ) を輩出するまでには、後の4人が絶対必要だったことが、 漫画だとよくわかる。ペコの才能は、自分一人じゃ、開花しないのである。
だから、この物語は、ペコvsスマイルでは全然ないのだ。 ある一つの物(ピンポン)に、情熱をかけて、負けちゃった人たち のハナシと言っても過言ではないのかも。なのに、映画では、あとの3人を、随分ないがしろにしたなぁ、という印象を受ける。これでは、ARATAくんと窪塚くんの顔を見るだけのアイドル映画だよ。
でも、みんな飛びたいんだなぁ。かく言うワタクシも 飛びたいです。しかし“I can fly.”できる人間は、ペコだけ。 さて自問。私はアクマなのだろうか? いやいや、まだわからん。 決めるのは、早すぎる。できればスマイルみたいに、 ちょっとは才能あるかも、という幻想に浸ってみたいものだ、なんて。
・・・と自分を5人のどれかに当てはめて見るのが、一番、感情移入 しやすいと、思うのでした。
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