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[コメント] ワンス・アンド・フォーエバー(2002/米)

1876'6'25 カスター将軍率いる合衆国第7騎兵隊はリトル・ビックホーンの戦いでシッティング・ブル率いるスー族とシャイアン族連合軍に全滅。カスター将軍自身もここで戦死した。劇中ムーアが第7航空騎兵隊という名前に変に反応したのはこのためである。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 これはアメリカ軍がヴェトナム戦争に直接介入した最初の戦い1965'11'14のイア・ドランの戦いを、実際にその場で指揮を執ったムーアと従軍カメラマンのジョー=ギャラウェイが書いたノンフィクション小説を映画化したもの。  メル=ギブソンは好きな俳優。ちょっとナルシストが入ってるところもあるけど、それも嫌味にならない程度。格好良い男の役を考えるなら、私だったら先ず彼のことを考える。特に『ブレイブ・ハート』は傑作だった。そう言うことで、彼の新作はチェックしている。

 今回はヴェトナム戦争。しかも主題は戦争ではなく、“愛”だそうである。前評判を聞く限りそれほど芳しい噂は聞かないが…それに予告ではヨーコ=オノが「これは反戦映画だ」と寄稿していた…猛烈に嫌な予感。それでもギブソンだったら観ておくべきだろう。と言うことで劇場へ。

 主題が主題だけに、銃後の妻子達の健気さが前面に出るのかな?と思っていたのだが、別段そんなこともなく(そう言うシークエンスもあったけど、思っていたより遙かに少なかった)、普通のヴェトナム戦争映画と言う感じ。戦闘シーンは派手で、北ヴェトナムの兵士も昔の映画のように農民然としたのでなく、しっかり軍隊していたので、その辺は好感が持てるが、画面の工夫が中途半端に古くさい。戦闘シーンに関しては『プラトーン』や『ハンバーガー・ヒル』とたいして変わってなかったようだし、乱戦模様の中ではギブソンをさほど目立たせることも出来なかった。個々の人間が目立っているようで目立たないのは、勿体ない感じ(それを言ったら『ブラックホーク・ダウン』なんかはもっとそうだが)。総じて言えば、“悪くはない”程度の作品だったと言うべきか。

 最初の戦闘でC部隊が突出して孤立するのは、あくまで盤上で戦争を論ずる場合、とてもプロの戦い方に見えないが、人間は決して駒ではないので、実際突然戦場に放り込まれたらこうなってしまうのだろうな(アメリカ軍にとっては朝鮮戦争以来初めての本式戦闘だったし、ここに投入された兵士のほとんどは初めての戦争だったわけだし)。個人的にはブロークン・アローの時の緊張感及びカタルシスは結構好き。

 色々不満は多いが、それでも2時間半の長丁場の映画で、途中一度も時計を見ることなかったと言うことは、何だかんだ言っても“魅せ方”は良かったのだろう?

 あと、つい先日だが、たまたまネイティヴ・アメリカンについての本を読んでいたので、様々な場所で使われているキー・ワードが分かったのが嬉しかった。

(評価:★3)

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