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[コメント] ノー・マンズ・ランド(2001/伊=英=ベルギー=仏=スロベニア)

銃が一挺、銃が二挺。人間の知恵と道理が見えてくる。
sawa:38

銃が一挺しかない時は、どちらかが優位に立ち相手を支配下におく。だが銃が二挺になり、双方が銃を持てば対等になり牽制し合う。そして、その馬鹿らしさに気づいて双方が銃を置く。しかし、銃が無くなった訳ではない。みせかけの平和が訪れただけなのだ。

この作品の序盤から中盤にかけてのストーリーは、第二次世界大戦後の米ソの軍備競争と冷戦の状況を表しているようだ。

限りなく続く軍備競争と動くに動けない冷戦に馬鹿らしさを感じない者はいない。しかし、世界の賢者たちが頭を突き合わせても解決策は見つからなかった。

例え双方の武器をすべて取り上げたところで、両者は拳で闘うだろう。やがて石ころを手にし、棒を手にし・・・

後ろ向きの発想ではあるが、あの塹壕の中で両者が銃を手にした時、一時ではあったが「平和」が訪れていた。知恵を持った「猿」たちにはアレが現在考えうる最良の状況だったのだ。(悲しいが)

しかし彼等が一時の「平和」を享受している間にも、横たわる兵士の背中の下には地雷が埋まっており、どうする事も出来ない。それでも時間は過ぎていき、やがて脚も痒いし糞もしたくなる。破滅に向かって時間は進む。

それは環境破壊か麻薬汚染なのか?

現在の世界情勢はどうだろう。冷戦は崩れ、銃は一国が支配している。圧倒的な銃の威力の前に「塹壕の中の平和」はもう無い。ケネディーもフルシチョフもいない。国連はブッシュJrを止める術を持っていない。

人間は浅はかだ。それでも冷戦時代という最低限の知恵で、熱い戦いを回避すべく努力してきた。しかしそれも終わろうとしている。

それよりも背中の下の「地雷」は本当に誰にも取り除けないのだろうか?一挺になった銃を振り回すよりも「地雷」を取り除かないと大変な事になるぞ。

フセインも金正日も後ろ手でナイフを探しているし、とにもかくにも「彼」はもう糞が我慢出来ないだろうに・・・

(評価:★5)

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