[コメント] リターナー(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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パクリだの大根芝居だのタイムパラドックス云々だのは、語り尽くされている通りで異論ないので、副旋律的視点でチョボチョボと...
この作品、楽しみにしていた要素の一つが岸谷五朗兄貴の“切れ悪役”だった。しかし結果はイマイチ。いかんせん兄貴、ヒタイに“悪”と書いてあった... 頑張りすぎなのだ(もちろん脚本もまずいが)
冷酷、残忍、卑劣、狂暴、狡猾、嘲弄好き、命知らず、悪のカリスマ、圧倒的存在感...こういう切れ悪役はピタリはまると、その悪辣っぷりに小気味良くさえ感じるものである。だが、少しでも切れ切れてないと(変な日本語)一気にしらけてしまう。しかもその評価は、所作1つ表情1つ、ぃゃぃゃ、眉毛のあげ方1つで決まってしまうほど、シビアなものだと思う。それは“演技”という域ではまかない切れないものではないだろうか。
と、いうのも、あくまで勝手な主観だが日本の俳優での“切れ悪役”成功例は『ブラックレイン』の故松田優作、『鮫肌男と桃尻女』の鶴見辰吾なんかが挙げられる。思うに彼等は俳優以前に元々の性質に“切れ悪役”の一面があると思う。(プライベートで2、3人殺してそうですもん...)それが切れ悪役の成功の条件だと思う。
岸谷兄貴はビジュアル的には申し分ないのだが、元々の人間性にダークサイドが感じられないのだ。(『ホワイトアウト』の佐藤浩市然り)残念!
最近は、無機質・陰湿な冷笑系の切れ悪役が多くなってるが、気の効いた嘲り、命知らずの無鉄砲さ、追い詰められてマジ顔になっていく様、そしてあくまで口の端をつりあげながらの鮮烈な死様、そんな嘲笑系の切れ悪役もじゃんじゃん登場させてほしいものである。
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