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[コメント] プレッジ(2001/米)

鑑賞するスタンスに困った映画。細部の違和感に目を瞑って、定年した老刑事が、プライドだけ、義憤だけをよりどころに1人で未解決殺人事件を追う過程を通して、針葉樹に囲まれた美しく穏やかなアメリカ北部に潜む闇が解き明かされていくと共に、老境にさしかかった刑事自身の新しい家庭の獲得を通して、人生の再出発が描かれる映画のつもりで見ていたのだが…。
Kavalier

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







閉塞した北部を写し取ったカメラは本当に素晴らしい。シーンの切り替え時に、植物や水のアップ、前シーンと大胆に色彩を変えたロングの使用等で、観客の五感を巧み利用して省略を意識させるのは上手いし、弟子のジョン・パウエルの『アイ・アム・サム』のスコアにやけに似ているハンス・ジマーの音楽のリリカルな音楽も印象に残る。

類型的な登場人物達を、ミスディレクションに使い続けるからには、最後に描かれる犯人像は閉塞された田舎に潜むアメリカの闇(スイスの推理小説が原作らしいので西洋世界の闇?)が体現されているかと思えば。あんな小手先のサプライズが待っているなんて、見終わって思いっきり脱力してしまった。

どうも、ショーン・ペンにとって、誠実であるべきは、「映画」であって、「人間」ではないらしい。

(評価:★2)

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