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[コメント] 戦場のピアニスト(2002/英=独=仏=ポーランド)

無造作にユダヤ人を殺していくナチスの暴虐ぶりには怒りを覚えるが、それ以上に怖かったのは、飢えのシーン、圧迫によって人を飢えさせることだった。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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鍋を取り合った末に地面にぶちまけられたものに思わずむしゃぶりつくシーンは強烈だったが、本作では飢えに追い詰められるシーンが度々、出てくる。

それはナチスの侵攻直後から始まり、最初は食べ物が手に入りにくくなるところから始まり、収容所へ送られる直前には一つのキャラメルを一家6人が切り分けてシーンもあった。

収容所へ人々が送られることの会話のシーンでは、列車に目いっぱいユダヤ人を乗せて出て行っては空になって帰ってくるのに、食料は運び出されていない、というのもリアルだった。

そして主人公が潜伏を始めたシーンでは、その飢えの描写は一気に加速していく。

思えば1番目の潜伏先を逃げ出す羽目になったのは、食べ物を探して派手に皿を割ってしまったからで、2番目の潜伏先でも飢えに悩まされ、さらに市街戦が激化してから瓦礫の街をひたすら食べ物を探してさ迷い歩く。この時は、主人公はいっさい話すこともなく、ひたすら食べ物を探し続ける。

ナチスの高官に見つかった時も缶詰を抱えたまま、まさに自らの命綱であるかのような執着を見せていた。

ピアノの演奏シーンもそれなりに心には残るのだが、戦時下での飢えの恐怖の描き方は、ポランスキー監督自身が幼い頃にゲットーで過ごした経験が反映しているのだろうか。

そして、そういう飢えをもたらす戦争の恐怖を改めて感じさせた映画でもあった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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