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[コメント] サイン(2002/米)

存在しない存在、それは…
不眠狂四郎

 この映画は妻をなくし、神なんかこの世にいないんだと信仰を捨てた元牧師が、新たな気持ちで家族を結束し再生させていく(と、決意する)話しにすぎないのかも。

 ミステリーサークルから始まり、一見宇宙人の来襲におびえる人間達を描いているように見えるが、実は宇宙人の存在を認識し証明しえる要因は描写されてない、というかうまく避けている。テレビ報道もブラウン管の中の情報と映像にすぎず、登場人物が実体験したものではない。最後に登場する宇宙人らしき生物も、それが宇宙人である証拠はなんら描かれていない。もちろんUFOが飛来してくる場面なども無い。

 が、登場人物にとっては明らかに宇宙人は存在し襲撃してきた。不確かな存在が彼らにとってはとてつもなくでかい確かな存在として存在しえたのだ。そしてその存在が彼らにもたらした影響はでかい。物理的に存在する物よりも脳髄が存在たらしめた不確かな物の偉大さ、それがこの映画のコンセプトであり、よりどころなのだろう。それはまさに宗教であり信仰なのである。・・・と思う。

 スペクタクルを期待した人たちには甚だ手抜きな映画に見えるにちがいない。これは非積極的ながら大胆にも宗教の定義づけを試みた数奇な映画なのではないだろか。

(評価:★4)

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